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Akinori

PCゲーム誌 · 第12号 · 2026年10月

特集 · 物語アドベンチャー

雪原郵便は、なぜ静かなのか

停電した村に手紙を届ける一晩。選択肢は少なく、戻れない。札幌の三人のスタジオが作った7時間の物語を、三つの角度から。

一、音の設計

この作品には音楽がほとんどありません。あるのは雪を踏む音、風、遠くの発電機、そして郵便袋の革がきしむ音です。プレイヤーが立ち止まると、音も止まります。立ち止まることが、この作品の最初の操作です。

ホワイトアウト工房の音響担当は、札幌郊外で三冬にわたって雪の音を録ったと言います。新雪と、踏み固められた雪と、夜に凍った雪では、足音の高さが違う。作中の村の通りは、その三種類で塗り分けられていて、耳だけで道が分かります。

「静かだから、選択が聞こえる。音楽があると、選択を音楽が決めてしまう」— ホワイトアウト工房、音響担当

二、選択の少なさ

7時間の間に、プレイヤーが選ぶのは11回だけです。どれも「どの家に先に行くか」「手紙を読むか、読まないか」という小さなもので、画面に選択肢は出ません。歩く方向が選択です。

そして、戻れません。セーブは一つで、上書きだけ。多くのプレイヤーがここで不満を言いますが、編集部は反対しません。手紙は一度しか届かないからです。

三、7時間の構造

一晩の物語は、三幕ではなく、七つの配達で区切られます。七通目の手紙は、最初の一通目の返事です。構造を知ってから二周目を遊ぶと、一周目に聞こえなかった音が聞こえます — あの発電機は、最初から止まっていました。

唯一の不満は、最終章の分岐が一つしかないことです。十一の選択は、たった一つの場所にしか流れ込みません。それでも、その一つの場所で、編集部の四人全員が違う感想を持ちました。

遊ぶ前に

  • 字幕を「大」に。初期設定は小さすぎます。
  • ヘッドホンで。スピーカーでは三種類の雪の違いが消えます。
  • 一晩で。7時間を二日に分けると、音の記憶が切れます。